・空への告白・
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 扉を開けるとひんやりとした風が流れ込んできた。
 少し冷たい、目の覚めるような風。
 けれど風に頼るまでもなく、眠気は彼の上に落ちてくる気配もなかった。
 吸い込まれそうになる闇の中、彼が一歩を踏み出すと遠くで小さく鳴く声がした。
 この闇の中では見ることは敵わなかったが、それでも確かに彼は微笑んで声のした方に近づいていく。
 伸ばした手が、硬質なものに触れた。
「…サラマンダー」
 彼が呼びかけると、さっきよりもはっきりとした鳴き声がした。
 闇に染まったその姿は、どこか儚く見える。あんなにも強く大きな存在であるこのドラゴンさえ。
 そんなことを考えているこの青年は、自分の姿がどれほど儚く見えているかなど気づきもしない。
 体に触れたままの手でそっと撫でてやると、サラマンダーは青年を包み込むようにして顔を摺り寄せてきた。
 冷たい鱗はそれでも外気より温かみが感じられた。
「お前、まだ起きてたのか」
 周りに視線をめぐらせると、少しはなれたところでそれぞれドラゴンたちが体を休めている。
 ドラゴンだって眠る。休養が大事なのは人となんら変わりはない。
「それとも、俺が起こした?…ごめんな」
 消え入るような呟き。頭を撫でながら謝罪の言葉を述べると、サラマンダーは弱々しく一声挙げた。
 そんなことはないと、慰めるように。
「少し様子を見に来ただけなんだ」
 そう言って、夜空に視線を向ける。空には何も見えないけれど、ただ闇一色のそれが、どこか心を落ち着かせてくれた。
 サラマンダーを撫でる手を止め、青年はそっと目を閉じる。
 しばらく、沈黙だけが全てを支配した。
「…なぁ。ヨヨの様子、変だと思わないか?」
 目を開けてようやく言葉を吐き出した。青年の瞳は地に落ちる。
 サラマンダーは大きな瞳を青年に向けたまま、じっとしていた。言葉の続きを待つように。
「なにがおかしいなんて言えない。けど、どこか無理をしてるように見える」
 それは、神竜の力、ドラグナーの力に対する怯えから来るものなのかもしれない。現実を知ったことの恐怖を、必死で隠そうとしているのかもしれない。
 それはどこもおかしいことではないように思える。けれど。
 ぽす、とサラマンダーの背にもたれかかる。
 サラマンダーの大きな瞳と目が合って、青年は苦笑を浮かべた。
「…まだ、なにか隠してるのかな…」
 ポツリと漏らした一言が、空へと消えていった。
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ビュウの性格、私の中ではこんな感じだったんでしょうか(汗)
いえ、それよりも。展開が唐突です(汗)
最初はメロディア→ビュウの話のはずだったんですけど。…おかしいな。
でもこれを書いていたら、なんとなくヨヨの考えていた事がわかったような気が。あくまで気が。しました。

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